社会人になると必ず聞くことになる『PDCAサイクル』。
仕事ができる人ほど『PDCAサイクル』の活用が上手いと言われますよね。
今回は「看護」を例にPDCAサイクルのコツ・ポイントを見ていきます。
看護に携わっている人は、PDCAサイクルのプロフェッショナルです。
PDCAサイクルを回せていないと、今も10年後も効率が変わらないなんてことにもなりかねません。
看護師を志す方はもちろん、ビジネスマンの仕事効率化にもとても参考になるでしょう。
目次
PDCAサイクル|「看護」を例にコツ・ポイントを見る理由は?
まずPDCAサイクルのコツ・ポイントに「看護」を選んだ理由を。
看護師さんの仕事環境を考えてみましょう。
・予定外の仕事がガンガン舞い込んでくる
・ミスが許されない
・お医者さんと患者さんの2方向を気遣う必要がある
看護師さんが超忙しいのは、病院に行ったことがある人ならわかると思います。
病院っていつ行っても、待たされますよね(笑)
常に患者さんが待っている状態で働くわけなので、そうとうなプレッシャーです。
加えて、急患やナースコール・症状の急変などの「予定外」が相当数入ります。
人の体のことなので、予定通りいくことの方が少ないです。
そんな忙しい環境下でありながらも、命や健康に関わる仕事。
小さなミスも許されません。
また、看護師さんはお医者さんと患者さんの架け橋。
常に2方向を気遣う必要があります。
看護の現場はPDCAサイクル無しでは、乗り越えられるものではありません。
最初にも書きましたが看護に携わっている人は、PDCAサイクルのプロフェッショナル。
PDCAサイクルのコツ・ポイントを学ぶには「看護」を例に考えるのが最適なんです。
そもそもPDCAサイクルとは?
本題に行く前に「そもそもPDCAサイクルとは何か」を話しておきます。
(「わかってるよ!」って人は、ここは読まなくてもOKです)
PDCAは英単語の頭文字です。それぞれの単語と意味は
D=Do=実行(実験)する
C=Check=確認(評価)する
A=Action=改善(行動)する
です。
Aが終わるとPに戻ります。
P→D→C→A→P→…と回していくのでPDCA”サイクル”といいます。
回るといっても、「同じところをグルグル」ではPDCAサイクルの意味がありません。
2度目のPに戻ったときは、1度目のPよりも良くなっているはず。Aは改善(行動)するですからね。
上から見ると「回っている」ですが、横からみると「上がっている」。
ヨーロッパのお城なんかにある「らせん階段」をイメージするといいかもしれません。
【P】PDCAサイクルは計画が大事!
仕事のできない人の典型的な例が計画を怠っていることが多いことです。
「そんな人いるの?」と思われるかもしれませんが、結構多いですよ(笑)
PDCAサイクルの最初は「P:計画する」です。
計画をせずにいきなり(目の前の)仕事に取りかかる人と計画してから(効率よく)仕事を行う人の差は雲泥の差です。
計画がないといわゆる「ムダ・ムラ・ムリ」が発生してしまいます。
必ず計画をたてましょう!
【P】看護を例に
PDCAサイクルのP(計画する)。
看護を例に考えてみます。
あなたが両足を骨折して、入院したとしましょう。
計画なしで看護をスタートされたら、不安じゃないですか?
計画がないってことは全体図がないってことです。
『全治〇ヶ月』も『〇ヶ月後には退院予定』もわかりません。
(いやいや、計画立ててよ!)
と心の中で思いますよね。
大きな流れもそうですが、1日や1週間のスケジュールだって知りたいはず。
何時からご飯で、何時からお風呂で・・・っていうことを事前に計画されていないと、不安で仕方ないと思います。
計画を事前にしっかりと聞くことで、患者さんは安心することができます。
計画がない看護は
『今からご飯の準備します』
『これからお風呂行きましょう』
と唐突な形になります。
そんなの安心できないですよね。
【D】実行するにあたってのポイント
計画ができたらまずはその通りにやることが大事になります。
「最初の計画より、こう(変更)した方がいい」「この計画は止めた方がいい」など思ったりすることがあるかもしれませんが、計画外の行動は良い結果ばかり生むとは限りません。
万が一、金額が大きい・納期がある・取引先がある場合だと取り返しのつかないことになる危険性があるのでとにかく計画通りに進めることが重要です。
もし、変更したいのならばActionの段階で行動すれば事足りる話です。
【D】看護を例に
PDCAサイクルのD(行動する)。
入院患者の食事時間を例に考えてみます。
看護師さんの立場になって考えてみてください。
P(計画する)で、1日3回の食事を次の時間にすることを決めたとします。
昼:12時
夜:18時
このように計画したならば、その計画の通りに行動することが大事です。
看護師のあなたは
(ご年配の方は早起きだから、朝ごはんは6時でもいいかも…)
(夜中にお腹が空くっていう人もいるから、夜ごはんは19時の方がいいのかな)
なんてことを考えるかもしれません。
でも大事なことは、計画通りにやることです。
「1ヶ月」「3ヶ月」など期間を決めて、その期間はきっちりと計画通りにやりましょう。
「これでいこう」と決めた計画通りにやってみないと、問題点がきちんと出てきません。
【C】チェックするときのポイント
計画して実行した後、必ずと言っていいほど問題点や修正箇所は出てくるものです。
上でも少し触れましたが、ここで初めて手を加える算段をたてましょう。
また、仕事ができないと言われてしまう人ほど、ここで躓く事が多いです。
恐らく、多くの場合は早く次の仕事に移らなければならない程、仕事量を抱えこんでいるためです。
「チェックする暇なんてないよ・・・」
私もよく分かります(笑)
ただそれで「よし」としてしまっては次のステップにはいけません。
では、どうやって解決すればよいのか?
ここで大事になってくるスキルは『いかに他人を自分の仕事に巻き込むことができるか?』が問われます。
話が脱線してしまいましたが、意識してCheckを実践するようにしましょう。
【C】看護を例に
(忙しくてチェックする暇なんてないよ・・・)
を看護を例にして考えてみます。
あなたがインフルエンザで寝込んでいるとしましょう。
看護をしてくれている人が、こんなことを言います。
「あなたの看護の他にも、今日はすごく忙しいの。
体温を測る時間がもったいないし、昨日と同じ薬を飲ませるね」
↑こんなセリフ言われたら、もちろん嫌ですよね。
(いやいや・・・体温測らないと何も分かんないじゃん・・・)
って感じになると思います。
これがPDCAの【C:確認(評価)する】をしない状態です。
看護を例にして考えると分かりやすいですね。
いくら仕事が忙しくても
(忙しくてチェックする暇なんてないよ・・・)
は絶対にNG!
インフルエンザなら、チェックするのは体温だけではありません。
・頭痛
・寒気
・鼻水
・喉の痛み
・食欲
くらいは最低でもチェックしたいところ。
先ほども書きましたが、チェックで大事なのは
『いかに他人を自分の仕事に巻き込むことができるか?』
ということです。
体温を測るのは【本人】でもOKですよね。
全てを自分でしようとすると、時間はいくらあっても足りません。
チェックを他の人に頼むも良し。
チェックは自分でして、それ以外の仕事を他の人に任せるのも良し。
うまく他の人を巻き込んで、PDCAサイクルを回すように準備しましょう。
【A】アクション時のポイント
改善には大きく分けて2通りの方法があります。
恒久的対策⇒長期的改善
起きた問題に対してどちらが適しているかを考慮して改善案を提案しましょう。
理想は問題点に対してそれぞれ2つずつ出せるようになればベストです。
【A】看護を例に
PDCAサイクルのAは流れで説明しないと分かりにくいです。
看護を例にしたPDCAサイクルを見てみます。
D:計画通りに、1ヶ月間は「朝ごはんを8時」に出す
C:患者さんから「もっと早く朝ごはんを出してほしい」という声が多かった
A:朝ごはんの時間を早くしよう
P:「入院患者さん朝ごはんの時間は、7時30分にしよう」と計画する
朝ごはんを7時30分にしようと計画したあとは、また繰り返しです。
1ヶ月間は7時30分でやってみて、また患者さんに聞いてみます。
「もっと早く」という声が多ければ、朝7時に。
「元に戻して」という声が多ければ、朝8時に。
単純に時間をズラすのは応急処置⇒短期的改善という見方もできます。
恒久的対策⇒長期的改善を考えると
・朝食を時間フリーのビュッフェ形式にする
なども考えられます。
明日からすぐにビュッフェ形式にするのはムリですが、長い目で見て患者さんが満足するなら(そして予算が許すなら)考えてみるのもいいですね。
最初の計画がどんどん変わっていくのがPDCAサイクルの面白いところです。
PDCAサイクルは何度も回すことが重要
最初は慣れなかったり、疎かになったりしがちですが、とにかく回数をこなすことが大事です。
1つの事柄に対して複数回すことも複数の事柄を回すこともです。
PDCAサイクルは回せば回すほど精度は高まっていきます。
精度が高まるということは仕事ができるようになっていくということと同義です。
ぜひ意識して回してみましょう!
ちなみに看護師さんたちのPDCAサイクルは、ものすごい回数回ります。
毎日新しい患者さんは増えるし、お医者さんとの相性もあります。
患者さんの健康状態を毎日チェックして、看護予定を組み立てます。
営業をしている人は
【毎日、新規の取引先が増える!しかも毎日、要求が変わる!】
と考えると想像しやすいかもしれません。鬼です。
DCAサイクルを回せば回すほど、レベルが高くなるのが分かりますよね。
まとめ
今回のまとめです。
『全治〇ヶ月』は知りたいですよね?
計画なしでスタートしないこと!
◇【D】計画通りにやってみる
「1ヶ月」「3ヶ月」など期間を決めて、その期間はきっちりと計画通りに。
途中で変えないように!
◇【C】チェックしないは、あり得ない
体温も測らずに、解熱剤のみます?
時間がないなら他の人を巻き込んで!
◇【A】2つの改善方法。短期的改善と長期的改善
患者さんの朝ごはんを朝8時から朝7時30分にしよう(短期的改善)
いっそ、時間フリーのビュッフェ形式はどうかな?(長期的改善)
◇PDCAサイクルは何度も回すことが重要
PDCAサイクルは回せば回すほど、改善できる。自分のレベルも上がる。
看護師さんのPDCAサイクルは、さながら扇風機!
「らせん階段」のイメージを忘れずに!
おまけ:PDCAサイクルと一緒に知っておきたい「看護過程」とは?
PDCAサイクルと一緒に知っておきたい「看護過程」というものがあります。
看護師を志す方は習っているとは思いますが、ウィキペディアの説明を載せておきます。
看護過程には、次の5段階がある。人によっては、いずれかの段階を二つに分けたりなどしているので、必ずしもこれとは一致せず、また、必ずしも一方向のみに展開すべきものでもない。
看護アセスメント 目の前にある健康問題、または潜在的な問題を把握するために、情報を収集する。バイタルサイン、病歴(既往歴)、家族構成
看護診断 収集した情報が正しいことを確認し、次いでデータを分析する。
看護計画 その問題の解決のために、患者と共に行動計画を作成する。
看護介入 目標に到達するための、看護行為や患者の自己努力。
看護評価 看護者はどのような成果が現れたか、あるいは看護計画を変更する必要はないかなど患者と一緒に評価を行う。
看護過程はPDCAサイクルと似ています。
PDCAサイクルと大きく違う点は「看護アセスメント:情報収集」でしょうか。
とはいえPDCAサイクルも「P:計画」を行う際に情報を集めることは必須です。
看護の現場では常に「本当にこれでいいのか?」を問い続ける必要があります。
他のビジネスシーンに比べて、情報収集が重要なのかもしれません。
PDCAサイクルに「I(information):情報収集」を追加して「IPDCAサイクル」なる5段階サイクルを試してみてもいいかもしれないですね。
以上です。
いかがでしたか?
皆様に上手く伝わったでしょうか?
もしお役に立てていれば私も幸いです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
それでは。
written by よっしー